10FTU Friends・NABEchan's★SE9RET ~NOV. the 4th Week~


さて、今月もやって参りました、なべちゃんのマニアックなコラムの時間です。

ここまで、10FTUワーム達のそれぞれの特徴、製法による特性などについて、ごちゃごちゃと語らせていただきました。

かなりオタッキーな内容なのでつまんねえなあと思われていないかと心配していたのですが、思いのほか、かなりの方からご好評いただきとても嬉しいです!

僕の変態トークに喜んでくださる同士の方々が一定数いらっしゃる限り、このスタイルでやらせていただきますね(笑)。

さて、
3回目となる今回は、ここまで紹介してきた10FTUルアーを実際のフィールドでの具体的な使い方として…特に「カバー」にフォーカスを当てて、そのアプローチ選択と共に解説させていただきます。

皆さんはカバーフィッシングは好きですか?

好きと答えた方は、カバーを前にした時、どんなルアーを投げますか?

男らしくアメリカンに14グラムのテキサスリグ?
スモラバを最近流行りのパワーフィネスで?

カバーフィッシングといっても、本当に色々な道具や手段があります。

カバーフィッシングは、日本にバスフィッシングというスポーツが持ち込まれた時から既に存在し、バスフィッシングをする人の中には「バスはカバーに付く」ということが常識とされてきたと思います。

「濁ったらカバー」「夏はカバー」なんて言葉もよく耳にします。

バスフィッシングを考察する上で、もはやカバーとの関係は切っても切れないものであることは皆さんの中で共通認識ではないでしょうか。

しかし、それ故なのか、カバーを対象としたテクニックやリグの選択肢があまりにも多く、いったいどれを、いつどうやって使ったらいいのかわからない…といった悩みはウチのお客さんからも頻繁に聞きます。

例えば、ありがちなブッシュカバーを前にして、テキサスリグ、リーダレス・ダウンショット、カバージグ、スナッグレス・ネコの中だったらどれを使うかは、人それぞれだと思います。

実際、これが正解だというのが無いのが釣りなので、逆に迷ってしまう方も多いですよね。

仮に、そのどれかを使用していたとして
「なんでそのルアーなんですか?」
と聞かれた時に的確に理由を答えられますか…?

今回は、実際に様々なカバーを前にして、僕がどうやってルアーを選び絞っているのか?
誰でも簡単に真似できるやり方をご紹介したいと思います。

◎『引き算』思考

まず、ルアーをセレクトする時に非常に重要となってくるのが“引き算”の考え方です。

全てのルアーの中からその場所や状況を考慮し、消去法で残ったものがその時最適なルアーであると予想する考え方です。

「ココだったらアレもできそうだしコレも良さそう。でもアレもいいかも…」
といった“足し算”の考え方では選択肢がどんどん増えてしまい、路頭に迷ってしまう原因にもなります。

引き算の考え方ができるようになると、
カバーだけに留まらず、全ての場所、シチュエーションで、理論に基づいた的確なルアーセレクトがより早くできるようになります。

前置きはこれくらいにして(笑)、
実際にカバーに対する引き算の例を見てみましょう。

はじめてのフィールドの朝を想像してみてください。
霞ケ浦水系の流入河川によくあるような…アシの倒れたカバーが水深50センチの対岸にあります。

まず、水深50センチという浅さからフォールの時間がほとんど取ることができないことが推測できます。

フォールバイトを狙うリグやルアーではその旨みを発揮することが難しく、逆に上から下までアングラーの操作(シェイク等)でしっかり見せることができるリグの方が、レンジをムラなく探ることができます。

初場所のバスのポジションをチェックするのにも、後者の方が適していそうですね。

さて、ここで最初の引き算です。

ストンと落ちてしまうような、カバー直下~中層での誘いが苦手なリグが消えます。
例えば、テキサスリグや重めのラバージグがそれに当たります。

では次に実際に後者に相当するルアーを入れてみます。

まず、シェイクが得意なルアーの中で多少のカバーに対応できる物として、4本ガード付き90度アイのスモラバ3.5グラムを試してみましょう。

僕の場合は前回ご紹介したスモラバとプリティーシャッド2.2インチですね。

しかし、こういった小さく軽いルアーはカバーに乗ってしまい、思うように落ちていってくれません。

ここで分かることは、

●3.5グラムではこのカバーに対しては軽すぎること。

スモラバのウェイトを重くしたとして、そもそも3.5グラムで落ちない厚さのカバーに4本ガードで対応しようという行為自体、テンポが悪すぎるのです。

ガードに頼るよりは、オフセットフック等のフックポイント(ハリ先)を隠せるリグが良いですね。

これを考慮して次の引き算です。

さっきの検察から、3.5グラムのスモラバよりも軽いウェイトのスモラバは消えますよね。更にフックポイントがむき出しのルアーも消えます。

この時点で残るもの、使えそうなものは、

●すり抜け重視だが、ある程度こちらから動かさなくても誘えるルアー。

例えば5グラム前後のリーダーレスダウンショット、もしくは、やや重めのカバーネコリグなどがそれに当たります。

この辺まで絞ることができたら、
次に見てもらいたいのがベイトの存在です。

「水辺を覗いてみると甲殻類が多く確認でき、逆にベイトフィッシュは見当たりませんでした」。

ここまで分かれば、甲殻類に似せたワームとより相性の良い「リーダーレスダウンショット」が生き残ります。

適しているルアーは
「甲殻類系ワームのリーダーレスダウンショット」
と予想解答することができます。

更に突っ込んで検証してみましょう。

僕の場合、その甲殻類が中型サイズのザリガニならチビロッター。
テナガエビならプリシャ3.6インチをセレクトします。

引き算方式によると、解答となる「そのカバーに対しての最適なルアー」が残ることになります。

このように引き算していくことで、
「なんとなく」で行っていたルアーローテーションやルアーチェンジが、釣り人自身の理論に基づいたシステマチックな物に変化します。

そしてこれはつまり「楽なアプローチ」を選ぶことにも繋がっていきます。

最も「快適に」「楽に」使用できる適材適所なルアー選びは釣りのリズムを整え、継続した精度の高いアプローチを可能にします。

その場所に向かないルアーだけれども、すごく釣れるからこれを無理して使う、のではなく、もっと楽にそれっぽいことができれはOK!

…くらいの気持ちで選択肢をバシバシ消去していきましょう。

それでは、

ここからはカバーとシチュエーション別に、僕が実際に使用している10FTUルアー達を紹介していきます!

あくまで一例ですので、より細かいシーンごとにアレンジしてみてください!

【リザーバーのレイダウン】

相模湖や亀山ダムなどのリザーバーのレイダウンで良く目にするベイトフィッシュは、小型~中型のブルーギル。
僕がよく使うのは、ラバージグとパドロッターのコンビです。

ウェイトはカバーの濃さに応じて「ストレスなく抜けるけど速すぎないフォール」ができるウェイトを選びます。

更に、ルアーを見せることができる程度に水深がある事が多いので、5~10ブラムでリズム良く落としていきます。

【水門の浮きゴミ】

僕の最も好きなカバーのひとつです。

浮きゴミには色々な生物が身を寄せています。
例えばカエルや小さなエビ。もしくは虫が流されてきているかもしれません。

カエルの場合はサイズに合わせて前回ご紹介したロッターシリーズのパドルカットチューンを試します。

逆に虫の場合はこちらも前回ご紹介したスモラバとプリシャのコンビ。

それでも入らない時はプリシャのマイクロリーダーレスダウンショットを使用します。

カバーの隙間に浮かせてみせるも良し。中に落としてから誘いをかけるも良し。いずれにしても、カエルやエビ、そして虫らしく、小動物っぽく誘いを入れましょう。

【水深1メートル前後のアシ、ガマ系】

陸っぱりでよく見るカバーですね。
濃さでの使い分けはこれまで書いてきた通りなので、時期によっての使い分けを紹介しましょう。

例えば春先や初夏、秋口などの、ボリューミーでスローな物を好む季節。

この場合は、3.5~5グラムのコンパクトカバージグ&クローワーム(プロトタイプ)がいいですね。

ジグ&パドロッターをセレクトしたリザーバーのレイダウンの場合と似ていますが、水深が浅くルアーを見せる時間が少ないため、ウェイトは3.5~5グラムまでの軽量タイプを使用します。ちなみにこのプロトタイプワームはインジェクションの予定です。

レスポンスの良い大きな爪を備えているため、軽量なシンカーと合わせた時でもしっかり動いてくれます。

ラバージグで入れにくい場合は、テキサスリグの3.5~5グラムで対応するのも良いと思います。ちなみに、オフセットフックはバリバスの本気フック#1/0がお気に入りです!

今度は、ポストスポーンやど真夏、ターンオーバーや急激な冷え込みなど、ベイトを満足に追えない季節。

そんな時期に活躍するのがスキップシャッド3.8インチ(テールカット)のバックスライドセッティング。

スポーニングシーズン直後など、プレッシャーの掛かった魚をよりナチュラルアクション&ローアピールで獲りにいく、実はナチュラルながらも強気なセッティングなのです。

プリシャの形状からして、ストレートフックがセットしやすいですね。0.3~0.5グラムのネイルシンカーを横から刺して完成です。腹側のフィンはそのままでもいいのですが、フックと干渉してしまう場合は取ってしまってもOK!

テンションフリーでカバー際に落とすと、クネクネとボディを捻りながらゆっくりとフォールしていきます。特に6~9月までのシーズンが有効ですね。

【杭などの縦ストラクチャー】

杭や倒木などの単発的な縦ストに対しては、これまた現在開発中のプロト・カーリーテールのネコリグを使用します。

縦ストラクチャーは他のカバーと比べると根がかりしづらいので、僕はフッキング重視のマス針チョン掛けセッティングで使用します。

このプロトワームはハンドポワード製のため、同じカーリーテールでもインジェクションのヒラヒラ系とは全く違う特性を持ちます。

ハンポワで作られるテールはより柔らかく厚いので、水を掴む力が桁違いに強いのです。
言葉ではなかなか表現しづらいのですが…
「ヒラヒラ」ではなく「グワングワン」といった感じなんですが…わかりづらいですね(笑)。
発売されたらぜひご自分の目でお確かめください。僕の言いたいことが理解できると思います。

この特性を活かすことで、普段のネコリグのシンカーウェイト(僕の場合は0.9グラム)ですと、よりゆっくりと沈んでいきます。

逆にフォールスピードを速くしたければ、写真のように、より重いシンカー(例としてアノストシンカーTG・3.5グラム~)を使用すればOK!

そうなると、ヘビータックルの出番ということにもなりますね。
34ミリ径のスプールを備えたバーサタイルなベイトリールに12ポンド以上のライン、ミディアムアクション以上のロッドを使用した強気なタックルでのアプローチが可能となるため、杭や立木周りでも安心してやりとりができます。

このワームは他にも使い方が色々あるのですが、ならではの特性を活かすことで他のワームにはできない様々なセッティングやアプローチを生み出すことができるでしょう。
皆さん、発売をお楽しみに!!

…とまぁ、
簡単に例を上げてみましたが、
普段、僕はこんな感じで10FTUルアーを使い分けています。

自分の好きなルアーや、今日はこれ!と決めたルアーで1日通すのも楽しいのですが、僕が提唱する釣りのスタイルもかなり頭を使うので面白いですヨ♪

ここ最近、グッと寒くなってきましたが、カバーは通年釣れるスポットです。
是非、これからの季節にこそ「引き算」のルアーセレクトを試してみてください!

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