18年ぶりのアメリカで感じたこと

2023/4/1

※通信環境の不調により更新が大変遅れましたことお詫び申し上げます。今週は2週分のボリュームにて田辺プロの原稿をお届けいたします。

18年ぶりのアメリカへ行ってきました。

初クオリファイとなる木村(建太)とも色々話ができてよかったね。

 元々、去年タクミが2度目のバスマスタークラシックにクオリファイした時に行こうとは思っていたんだ。

でも、コロナウイルスが日本でも蔓延していて、これはとても行ける状況じゃないよねっていうのが真相。

アメリカで感染すると現地で待機になってしまうし、帰国後のスケジュールもあるから大事を取って見送ることにしたんだ。

けれど、タクミが昨年もエリート戦で健闘し、今年もクラシックにクオリファイしてくれたので今度こそはアメリカへ行こうと。

というのも、タクミだけじゃなくて色々な人間に会いたかったんだよね。

クラシックはもちろん、自分がアメリカツアーに参戦していた時の拠点だったバーミンガムへ行って世話になった旧友にも挨拶をしたかったからね。

色々事情はあるのだけれど、まずは久々のクラシックの感想を。

もう、これはね…ジェラシーですよ。

俺が出ていた時より全然すごくなっちゃってて、アメリカはやっぱ止まらないんだなというのを痛感しました。

俺が出ていた時だってバスマスタークラシックはちゃんと集客できる凄く成功していた試合だったんだよ。

当時はボートもすべて運営が用意してくれて、選手の送迎も完備、ものすごいケアのデカい試合だったんだけど、そこからどんどん進化していたね。

クラシックに合わせてエキスポという、日本で言うところのフィッシングショーまで開催するようになって、クラシックの会場、エキスポの会場、ウエイインの会場、それぞれ違う会場を観客が行き来する。

  その会場間を移動するためのシャトルバスなんかもちゃんと用意されているしね。

これだけデカいイベントなので、州内外からとにかくものすごい数の人が、クラシックの開催地である街・ノックスビルに入ってくるわけ。

そして、クラシックのために街に来る人がホテルに泊まり、食品、外食その他諸々含めて街にお金を落としていくワケだけど、その経済効果はなんと約30億円なんだとか。

  ひとつの試合で30億の経済効果があるって、スゴすぎるし、そりゃあ開催する街もウェルカムになるよね。

アメリカのバスを取り巻く環境は本当に進化が止まらない。

もうひとつすごいと思ったことがあって、それは新陳代謝

各会場では一般の若者たちがレプリカのトーナメントシャツを着て、エキスポを歩き回っていたんだ。

  もしくは、試合に出ている選手の家族たちがおじいさんから子供まで一家全員揃ってトーナメントシャツを着ていたりとか堪らないよね。

話を新陳代謝に戻すと、学生たちの試合はこれまでにないくらい増えている。

そして、次々と若い芽が出てきている。

トーナメントレイクの釣り人口が18年前の3倍に増えてきているらしいんだけど、選手たちが増えるイコールどれだけバスボートが売れているんだ?とか考えちゃうよね。

だから俺がアメリカにいた頃より、バスフィッシングというものがあまりにも巨大化しすぎていて、「うわ、バスの未来ってここまできたのか」と思ったね。

その中で最高峰の試合であり、若者もそこを目指して取り組んでいる。

しかも、学生たちによる組織ができたり、州を挙げて、学校を挙げてバスフィッシングに取り組んでる。

カレッジシリーズで優勝を遂げたタッカー・スミス(左)とローガン・パークス(右)。

学校を挙げてっていうのはすごいよ…、もはや部活だからね。

もうアメリカどこまで進化するんだよって痛感したね。

でも、何よりすごいのはそれを作り上げているのが「バス」という魚だということ。

バス一種で、一発で30億の経済効果をもたらす魚をよもや日本はどう扱うつもりなんだ?とどうしても思っちゃう。

でも俺が信じ続けていた、「バスはサラブレット」というゲームフィッシュの世界がまんま現実になっていて、確信とともに悔しさを感じた。

こんな立派な実例があるのに、日本は環境に合わせた進化を遂げられてない。

黒毛和牛がいい例なんだけど、果物でも家畜でも、元々外国産の物が多いじゃん。

食に関しては品種を改良していく流れはあるけど、文化に関してはなかなかそうはならないのが日本。

ブラックバスという魚が本当に害魚なのであれば、アメリカだってとっくに潰れてる。

でも、実際はそうなっていないし、むしろ資源として大切にしている。

この現実を多くの人に見てもらいたいし、伝えたい。

そう思った時に、少し希望というかキッカケを感じたのは現地の日本人たち。

会場で何人かに話をかけられたんだけど、彼らは日本の一流企業に勤めていて、長期出張でアメリカに住んでいる人たち。

そういう人間も以前の10倍くらい増えている。

企業が研修でアメリカへ入れているわけ。

そういう人間たちが、アメリカのシステムや現状を目の当たりにして、学んで、日本に持ち帰ってくれば、いつか芽が出る日も来るかもなって思えたね。

そしてそこにタクミという存在ですよ。

  特に今季からは、DHLというアメリカの選手ですら羨ましがるビッグスポンサーがタクミをサポートすることになったんだけど、そこに一番食いついたのはB.A.S.S.。


要は団体にとっても大きなスポンサーは重要で、エキスポにもDHLが出展するようになったわけだ。

タクミはB.A.S.S.にとっても新しい扉を開いた一人になったということですよ。

そして、向こうでのタクミ人気。

惜しくも、3日目の決勝に出ることは叶わなかったわけだけど、エキスポ会場であんなにサインの列ができる日本人は見たことがない。

例えば、ヤマハとかのサイン会ではスポンサーを受けている選手を一斉に並ばせて、サイン会が始まったりするんだけど、DHLではタクミ一人でも長蛇の列ができていたね。

これは奇跡か!?と思ったよ。

アメリカで、日本人選手に青年から、女の子、エキスポに来ていたファミリーなんかが並ぶ光景なんて信じられないよ!

スケールは違うけど、大谷や錦織のように人種の壁を超えてスポーツ選手として君臨してしまったわけ。

タクミはもう、紛れもなくB.A.S.S.のスターだよ。

色々すごく良いタイミングで、それぞれが重なって日本のバスに少しでも兆しが見えればと切に思う。

今回はそれを肌で感じることができて本当によかったね。

あとは、昔バディだったジョン・マーレーにもあったり、

 

誌面連動企画では、リック・クランと久々に話ができた。

 特に、リックとの対談ではすごく重要なことをお互いに話し合うことができたと思う。

この様子はルアマガプライムで動画になるみたいなんだけれども、バスフィッシングの未来についてすごく大切なことを話しているので、その映像は日本のバスフィッシャーマン全員に見てほしい。

もちろんアメリカでの様子は、BASSFLIXでも色々公開されるので、楽しみにしていてください。 ということで、今週はこのへんで。

来週もよろしく!

 
過去の連載はこちら↓
田辺哲男のMY BIG GAME
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