田辺哲男【VOICE】2023/12/31 2023年を振り返って

2023年は『戦い』の年でした。

具体的に言ってしまうと、農薬の影響で元気のなくなったバスとの戦い。

ここ数年は農薬によってルアーを追い切れないバスに合わせていくルアー作りをしてきた。

例えばフカベイトなんかが良い例で、フカベイトは健康体なんだけどルアーを追うほどの元気はない魚を反応させることができる。

弱ってシャローにいる、サイトで釣れてしまうような痩せたような魚や片目がないような魚じゃなくて、健康体で太っていても今のバスは追いたがらないんだよ。

それはみんなも実感してきてると思う。

そんななかでも戦える釣り。

ちゃんとした釣りで出てきてほしいっていう。

俺のなかで、フカベイトはちゃんとしてないわけじゃないけど、ムシ系の延長でどこかズルいんだよね(笑)。

だから、そのズルさを今年はなくしていっていこうかなと。

普通に巻きの釣りで、このウォブリングでこのロールだったら食うんじゃないかっていうのを追求してた年だったね。

だから、今年はトップが減って巻きの釣りが多かった。

スピナベとかクランクとか、今まで普通にあるルアーなんだけど、今の魚に合わせてよく釣れるようなものを目指してたんだ。


でもそこって、俺も何十年もバス釣りをやってきたけど、針の穴のように狭いこと。

今のビッグフィッシュたちが求めてるのって、どこの針の穴なの?っていうのを着目しているわけだからね。

各フィールドに行って、いろんな話を聞いたり、体験したり、今年はメキシコにも行けたのはいい経験だったね。

フカベイトも針の穴を通すように見つけた釣れる動き。

55センチ以上のデカバスでも、追うだけじゃなくて最後までちゃんとバイトしてくるっていう、そういうルアーの動きってあるんだよ。

タダマキ132だって、そういう動きを持ってるって自信を持ってリリースしてる。

そしたらこないだちゃんと亀山でロクマルが釣れていたしね。

ことビッグフィッシュにおいては、食わないルアーはずっと食わないんだよ。

それをみんなわかってない。

大活性状態だったらあれでもこれでも食うってことはある。

だけど、普通の状態だとルアーのストライクゾーンの穴がどんどん小さくなって、そこを通さないといけない。

その小さい針の穴を通せるルアーの動きを、俺はおもしろがって探してるだけなんだけどね。

みんなもそうだと思うけど、やっぱりデカくて良いバスを釣りたいじゃん。

でも、ルアーを縛って、釣れなくても言い訳ができるような釣りをしろなんて俺は言わない。

釣れなければ自分のせいで、そこに逃げ道は作りたくない。

ルアー縛りなら釣れなくてもしょうがないじゃんってなるのが、俺はダメなんだよ。

バスを相手にするんなら、どんな状態でも立ち向かっていく。

レンタルボートならフィールドの全部が見れるんだから。

そのなかで、自分のやりたい釣りでデカいのを仕留めていくことに俺はおもしろみを感じてる。

多分、みんなもそうなんじゃないのかな。

残念なことに、農薬の影響で今のバスはプレデターとしての捕食本能を阻害されている状況にある。

それをなくす術はまだ見つかってない。

あまりの釣れなさにバス釣りから離れる人も増えて、業界も萎縮している。

でもおもしろいのが、バスをちゃんとやってたやつは海釣りに行ってもすぐにある程度のとこまで到達しちゃう。

これ以上やってもあんまり奥が深くないぞって、物足りなくなっちゃう。

そこで魚種を変えていろいろやっていくわけだ。

俺がこれだけいろいろやってきて断言できる、バスフィッシングほどの奥行きのある釣りは他にない。

アメリカのNo.1ゲームフィッシュがブラックバスだっていうのがそれを象徴してるよね。

アメリカにもいろいろな釣りがあるのに、やっぱりバスなんだよ。

今バスが釣れないからって他の釣りをやっている人間も、俺は必ず戻ってくると思う。

そんな人間たちが久しぶりにバスを釣るときに、こんなルアーもあったんだって驚かせたいよね。

とはいえ、今年はアメリカにも行って、その盛り上がりを肌で感じた分、余計に今の日本の状態を憂いてしまったかな。

アメリカに比べて、日本はやってることが小さすぎるよね。

国や業界の動きもそうだけど、なぜもっと先を見たことができないのかなって。

みんな目先の利益がすぐ返ってくることしかやりたがらないよね。

でも、いつかなんとなく変わる日がくると思う。

国自体が地域を生かそうとかね。

メキシコだって、バスが資源で外貨を稼いでくれるって変わったわけだから。

長くなりましたが、今回はこのへんで。

本年もご愛読ありがとうございました!

来年もよろしく!

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