田辺哲男 VOICE 2021/08/01 効くけど効かないハードベイト

2021/8/1
気付けば、もう8月。夏休み真っ只中にあって、オリンピックも映像越しに盛り上がりを見せているが、そこにきての緊急事態宣言はなんとも寂しい限りだ。感染者数の激増ゆえ致し方ないとはいえ、出口の見えない状況が速やかに改善されることを切に願うばかりである。

今週は火曜日に、久しぶりに相模湖へ行ってきた。梅雨が明けて雨の影響も薄れているだろうな、と。メインの目的はいま手掛けているクランク、『ショットオーバー3.5』のウエイト位置とバランスの調整ですよ。

この部分はかなり重要で、俺の手削りのプロトから金型での試作に変わると、見た目には同じようでも、どうしてもちょっとした違いが生じてくる。そしてその“ちょっと”が、実際のアクション(スイムバランス)、根がかり回避性能に大きく影響してしまうことも少なくない。そこをきっちりと正すための作業。

およそクランクは、巻いてみて、「あぁ、こんな動きなのね」で終わってしまうところだけれど、障害物にコンタクトしてからの“抜け感”や回復時あるいは着水からの立ち上がりなどなど、自分のなかでの理想とイメージが明確にあって、それを司るウエイトの調整というのは、本当に大切なのだ。内蔵するウエイトのマテリアルも、ブラスなのか、いや、鉛でしょ、と試していったり・・・もちろん、釣果が加われば、それにこしたことはない。

柴田ボートで話を聞くと、梅雨明けから厳しくなっていて「最近、何をやっていいか分からない」とオーナーの息子さん。かろうじて魚を手にしているのはサイトの釣りだったりするそうだが、したがって苦戦しているお客さんがほとんどなのだとか。しかも巻きは・・・まぁまぁ、こちらはあくまでも開発テストなので、釣果は二の次ですよ。

ところがキャストをはじめて3分も経たないうちに、3.5に食ってきた。
 

釣れるじゃん、巻いても(笑)。

しかし、後が続かない。

川筋のマウス部分、本湖の入り口となる勝瀬橋周辺は流れの変化が生じる1級エリアであって、例年であればこの時期の早朝なら、たとえバイトに至らずとも、浮いて見にきたり、チェイスがあったりと何かしら魚の反応が得られる場所。なので、ウォッシャークローラーフカフカなどトップを試してみるが、何もない。

これはカレントを求めた個体がすでに上流へ差しているのではないかと予測し、要所を触りながら島田湖へ向かう。
 
すると、そのエリア内上流側で浚渫が行なわれており、濁りも入っていい感じ。

これはいただきかもしれない。

しかし、期待に反してバスからの返信はいっさいない。

もしかしたらもう、魚たちはさらに上流のレンタルエリア外へ行ってしまったのか。現状は水位が高く、上限の橋まできても川のような景色にはならないんだよね。

帰りがけ、誰もが狙う“諏訪の滝”にネイキッドを入れたら、いきなりナイスサイズが釣れた。
 

40アップですよ♪

しかし、やっぱり後が続かない。

要所を触りながら川筋をくだり、朝チェックした勝瀬橋周りをもう一度狙ってみる。朝も流れはあったけれど、戻ってきてからも順流がいい感じで利いていたのです。

するとタフバグにグッドコンディション。
 
なるほど、食うやつは食うのね。でも、冷静に考えてみると釣ったのはすべて一級スポットですよ。

しかし、これまた後が続かない。

その後は本湖を回ったのだけれど、何も起きずにストップフィッシング。
 
ヒットルアーのタックルは以下のとおりです。オーバー3.5用●ロッド:ロードランナーヴォイスLTT 650M●リール:カルカッタコンクエスト100●ライン:シーガーR18フロロリミテッド12ポンド/タフバグ用●ロッド:ロードランナーヴォイスHB600L●リール:カルカッタコンクエスト100●ライン:シーガーR18フロロリミテッド12ポンド/ネイキッド用●ロッド:ロードランナーヴォイスLTT680MH●リール:カルカッタコンクエスト100HG●ライン:シーガーR18フロロリミテッド14ポンド

結論。

全部違うルアーで釣れただけで、何も分からない(汗)。

いちおう、すべてハードベイトだけれど、すべて異なるというのは、どれもハマっているわけじゃない。

ただ、オーバー3.5しかり、ネイキッドしかり、タフバグしかり、これらはいまタフな状況のなかでも食わせられる自分の釣りを具現化したものばかり。コンセプトの方向性は間違っていないというのを再確認した。

つまり、釣れるルアーを、良い場所に、ベストなタイミングで入れることができれば食う、ということなんだね。巻きでは釣れない、ハードベイトが効かない、というのではなく、一日のなかでそれで釣れる状況、場面というのが、あまりにも限定的で、だから難しい。

全部が複合しなければならない。とにかく“狭い”わけです。

そしてそれはやっぱり、農薬を筆頭とする水質の変化による、バスの活性減退が最たる理由なのではないかと感じている。


木金にはBasserの連載取材で低地のリバーへ足を運んだが、そこでもやはり感じたのは同様のことだった。

その原因を本気で考えなければ、近い将来、大きなしっぺ返しを食らうことになる気がするのだが・・・。

今週はこのへんで。

来週もよろしく!

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