艇王2021 第2戦 川村光大郎 vs 伊藤巧 in 新利根川 試合後対談
釣友でもあり好敵手同士の二人戦いは、川村光大郎さんの勝利で幕を閉じた。
プラクティスでは八方塞がりで何も見えないまま戦いに挑んだという川村さんだが、そこからどのようにアジャストしていったのか。
そして、本場の大舞台で戦うTAKU ITOはどのように新利根川を回顧したのか。
それでは、両者の試合後の対談をお届けしよう。
プラで手応えをつかめなかった川村選手、プラで好調だった伊藤選手
プラクティスの手応えを本番にどう活かすかがキー
編集部:お疲れ様でした。艇王2021第2戦新利根川。結果発表の方を行いたいと思います。せーの、ドン!
伊藤「おー!すごい!」
川村「おー!」
編集部:伊藤巧選手3本1390g、川村光大郎選手2620g、よって勝者は川村光大郎選手です。
川村「よっしゃ!」
伊藤「おめでとうございます。すごいっすね。」
川村「でも巧もリミットそろえたんだね。今日は何本釣ったの?」
伊藤「僕は4尾ですね。結構厳しかった。光大郎さんのこのウエイトを今日の状態で出すのってかなりきついと思うんですけど…?」
川村「一発いいのが入った」
伊藤「何グラムですか?」
川村「1400くらい、あとは700台と500台」
伊藤「全部僕より上ですねウエイトは。700、500、1400だと。洲ノ野原?」
川村「うん」
伊藤「朝の中間発表では1本でしたよね?」
川村「1本だった。うん」
伊藤「結構タフじゃなかったですか?」
川村「タフだった」
伊藤「その後、ドドドンときたんですか!? 何本だったんですか!?」
川村「3本だね」
伊藤「お!きっかり?」
川村「そう。5回チャンスがあって、でも釣ったのは3本だね。うん」
伊藤「すごいですね。じゃあ、このサイズが出るのが分かってやり切ったみたいな?」
川村「いや、そんなことはなくて、一昨日のプラクティスは、洲ノ野原はノーバイト。新利根川で小さいのが2尾。川を上がってもそんなにバイトが多いわけでもなかったし、そのウエイトだったならもう外(洲ノ野原)でやるかなと。本番では3回くらいチャンスがあるといいなと思ってました」
伊藤「そうなんですね。今日は何で釣ってきたんですか?」
川村「1尾目はタイフーンのスロープの近くでジグ。深さとか好みも何にもわからなかったんだけど、アシ際に入れて泳がせてたら食う瞬間も見えた。今日5回チャンスがあったうちの4回は同じ様に見えたかな」
伊藤「マジすか。それって(カバーの)外にいるんですか、それとも内側から出てくるんですか?」
川村「外に初めからいるというよりは、カバー際から追っかけてきてるかな。だから全部フォール中じゃない。ピックアップを早くしないで、スーと持ち上げてくると下から出てきて見えるところで食う。晴れて影が小さくなってからは、リーダーレスダウンショットを妙岐までやってそれで2尾目。撃ちモノを2つ持ってきていて、際に入れつつ外まで泳がせて誘いたいときはジグを使ってたかな。で、際をキッチリキッチリ打っていくときとか、カバーを狙うときにはリーダーレスダウンショット。3匹目でいいのが来たときは、リーダーレスだったんだけど」
伊藤「ワームは何を使ったんですか?」
川村「ブルスホッグ3インチにフラスカートを付けたやつ。ウエイトも3.5gでゆっくりコンパクト気味だけど、ちょっと目立ってくれるようにした。ジグも同じようにトレーラーはビッグダディジュニアなんだけど、ラトルをセットしていた。魚の居場所がわからないから、少しでも気付いてほしくてそれくらいやっていた。もう本当にバイトがなかったけど、いないいないという頃にやっと釣れてくれて、最初の中間報告で巧も1匹だったしなんとかそこで気持ちがつながったかな。全体を通して言えば、一回釣れて一回休憩して一回釣れて一回休憩してっていう続かない感じでした」
伊藤「でも1400を獲るのは凄いですね。」
川村「それはついてた。もう狙ってとかは今回無理だからね」
伊藤「1400はアシの壁できたんですか?」
川村「うん、アシ際に入れて。」
伊藤「どの辺を撃っていたんですか?」
川村「転々と。タイフーンあたりのちょっと生え方がいい所とか。妙岐は時期的には深いし影がほとんど出ない時間帯に入ったけど、あそこってエグれてるところがあるでしょう? 一見すると影がなくても、水中でエグれているところには影があるからそういいうところを狙ってた。他にも周りよりボトムが見えないところ、なおかつちょっとエグれてるとか、アシが被さっているとか。浅くてダメだったりとかしてなかなか全部の条件が揃っているところは無かったけど、点々と周ってポツッとでもよさそうな所があれば、そこは必ず立ち寄って撃っていった」
伊藤「なるほど」
川村「巧はどんな感じで?」
伊藤「今日は一番いい奴をミスってはいたのですが、今の話聞くと、僕がミスしなくてもこのウエイトは勝てないですね」
川村「どれぐらい?」
伊藤「700~800くらいですね。キロは無いだろうなという感じだと思うんですよ。でも、それがあったとしても勝てない。たぶんそれがあって2キロないぐらいだと思う」
川村「今日の見立てはどんな感じだった?」
伊藤「僕は逆にですよ、プラはすごい良かったんです」
川村「え、まじで? 洲ノ野原で?」
伊藤「どっちもなんですけど、デカイのは2000後半くらい。数も10本くらい釣ったんですよ」
川村「まじか!」
伊藤「でもそれが悪い方向に行きました。プラではいる魚というよりは差す地形にあるアシとか、魚が差してきてポッと乗っかるようなピンスポットで釣れたんですよ」
川村「それって浅瀬が張り出してるところ?」
伊藤「というよりも、重要なのはブレイクの入り方と水深、ボートポジの水深ですね」
川村「それって浅いの?」
伊藤「ボートポジは深いです。それとディープがちゃんと隣接してるんだけど、少し入り組んでるみたいなところが良かった。ブレイクがちょっとゴリっと入り組んでいる周辺のアシで1300台とかが釣れていました。ちょっとやせてるんですけどキロフィッシュくらいの魚も妙岐で釣れて、フィーディングに入る場所がアシ際であっても、奥まった所より、差す地形をした方がいいんだなというのが分かった。じゃあこういう所も見ていこうというので、何ヵ所か洲ノ野原の中でもそういう場所を気にしていました。
川ではセブンイレブンくらいまで上がっていったのですが、インサイドなんだけど、ブレイクがちょっと複雑になっているところのアシとかで釣れて、こういう所にはキロくらいまではいるんだなということがあった。でもそれを引きずっちゃったおかげで、全然ダメだった。要はそういう所に差してこなかったんですよ今日は。シュッと入れるような場所で僕はどうにか釣っていた感じで、結局プラから想定していた差す地形では一尾も釣れなかったです」
川村「釣り方は、プラクティスで良かった時と、今日実際釣ったのは違ったの?」
伊藤「釣り方は基本フリップドムだったんですよね。フリップドムを入れてパパパンと跳ねさせて。外に出ていく動きで食うなら水中で野良ネズミをやってる感じでチョンチョンとやったり。あとはエグれにスポーンと入れてやるみたいな感じだったんです。プラの時は差してくる魚だったから何でも釣れたんですけどね。だから今日は余計きつかったです」
川村「今日もフリップドムで釣ったの?」
伊藤「そうそう。今日もフリップドムで3本。あとはスレンダーグラブのジグヘッドワッキーで1本で合計4本という感じです。でもどの魚も、川でドムで掛けたけど獲れなかったキロいかないくらいの魚よりも小さくて、基本的にそういう場所には差してなかった日だったんだと思います。だからこれは辛いなと。釣りもあんまり丁寧にやれてなくてやばいかなと思っていたら、案の定、丁寧にやっていた光大郎さんがすごいウエイトを出してきましたしね。これは僕の悪いところ出ちゃったなと。僕はスルーしちゃった魚がいっぱいいたと思います」
川村「いやでもすごいよ。俺プラクティス全然釣れなかったから、何にもわからなくて。今日も川を上がったの?」
伊藤「上がったっす」
川村「え、いつの間に?」
伊藤「午前中に洲ノ野原でやったときに、中間発表で光太郎さんが1尾って聞いて、僕も1尾だったのでこれはやばいぞと。洲ノ野原の魚は結構動くから、朝のフィーディングで動かなかったということは、多分1日やばいかもと思った。それでそこから1時間弱かけて川を上あがって、そこでリミットをババっと取って。」
川村「じゃあ川で釣ったんだ残りは」
伊藤「そうですね。昼休憩までに2本釣って、1本ばらして。最大魚聞いたときに、川村さん700で僕は400いくつだった。だから勝つためには僕は妙岐で当てるしかないなって思って、もう一回1時間かけて妙岐に戻ったんです。
移動も結構無駄がありましたね。やるんだった妙岐だったら妙岐で釣りきるべきだった。エンジンのある環境というものを基軸にした動きがすごく無駄を生んでしまったなということも反省してます。
僕は、風が吹いているから妙岐で当てられれば、この一時間の移動は結果オーライだと考えてやっていたんですけど、そもそもエレキ戦にはエレキ戦なりの戦い方があるというものを僕はこの8か月間で忘れてしまっていてたんです。自分の釣りの中で失っちゃったものがあるという感じです。結局キーにしていた場所でこのウエイト差なわけですから、僕は見事に外したなという感じでした」
川村「いや、でもどっちに転ぶのかこれはね。そういうポテンシャルが新利根川にも洲ノ野原にも両方あったとはね」
伊藤「面白いですよね」
川村「陸王も艇王も出てるけど、こんなに行きたい場所もやりたいことも、何も見つけられなかったのは今回が初めてだったの。だからもう無策の状態で今日はいったというのが正直な所」
伊藤「いやでも、それで当日に合わせられるのは凄い。僕の場合は逆にプラがよくて引きずっちゃったじゃないですか。だから一番強い人の典型というのは、ダメなプラでもそこからアジャストする人だと思うんですよ。1DAYの試合だから1DAYの戦い方がある。その中で光大郎さんが川に行かなかったと聞いて、僕は午前休みまでに3本揃っているもんだと思っていたんです。でも3本揃ってなくても妙岐に残った。それだけの価値やポテンシャルがある洲ノ野原でやりきったんですから、1DAYの試合で勝つべくして勝つ試合をやった感じだと思いますよ」
川村「いやー、ついてました(笑)」
伊藤「僕は勝てないな―。日本で勝てるようになるのいつなんだろう(笑)」
川村「今日は今回勝ったら大金星だって言っていたからな」
伊藤「TAKU ITOには結構余裕で勝てちゃうかもしれません」
川村「(笑)」
伊藤「でも、陸王やるころには、伊藤巧に戻ってますので」
川村「ぐぅー!」
伊藤「その時はぜひ楽しみにしてください」
川村「決勝で待ってます」
伊藤「はい。ありがとうございました。おめでとうございます」
川村「ありがとうございました」」
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