お久しぶりです!
渡辺です!
前回のマニアックな記事はお読みいただけたでしょうか!?
他のメンバーと比べるとかなりテイストが違う内容でしたが…興味を持ってもらえたら(笑)、10FTUにはこんな奴もいるんだなぁ、と覚えていただけたら幸いです!
さて、
今回も、前回同様ソフトベイトにまつわる内容です。
前回は関東で人気の「マイクロッター」の特徴や個人的な使用方法について紹介いたしました。
その中で出てきた
「ハンドポワード」というキーワードについて(先週のコジヘイさんに続く形にはなりますが)、今回は更に突っ込んでお話したいと思います。
ハンドポワードとはソフトベイト(ワーム)の製法の1つです。
大きく分けて
「インジェクション」と
「ハンドポワード」の2種類の製法が主流です。
それぞれの特徴を見てみましょう。
インジェクションは、機械を用いて立体の金型にマテリアル(素材)を注入し、圧力をかけて成形をする製法です。細かい造形を表現することに優れ、時間をかけずに大量に手間なく生産することができるのが特徴。工場設備が普及し、金型も安価に作れるようになった現在の市場では、この手法が主流です。
対して、
ハンドポワードは、マテリアル(素材)を人の手で流し込み、成形する昔ながらの製法です。そのため、金型は片側のみの平面となり、360度立体での表現ができません。また、人の手で流すハンドポワードにはインジェクションのような複雑な細かい形状を表現するのは製品レベルでは難しい…といいますか、ほぼ不可能なのです。
また、基本手作業なのでインジェクションに比べてカラーなどの個体差が出やすいのも特徴ですね。
10FTUのソフトベイトでは珍しい、インジェクション成形モデルのVスキップ。上部の細かいヒダヒダなど、ハンドポワードでは表現できない細やかさが売り。
こうやってそれぞれ比較すると、より手間をかけずにムラなく大量に生産することができ、対応するデザインも多様なインジェクションの方に分があるのは歴然です。
しかし、そんな時代に反逆的とも思えるほどハンドポワードにこだわり、製品を作り続けるのが、我が「10TEN FEET UNDER」というブランドでございます(笑)。
では、ハンドポワードの良さってドコにあるのでしょう?
ハンドポワードは、前述したとおり人の手でマテリアルを型に流し込みます。
流し込んだマテリアルに人為的に圧力をかけることがないため、かかる圧力は重力のみ。
したがって、
仕上がりはふんわりもっちり、ソフトになります。本当は、もっとかっこよく表現したかったのですが…。
実際に10FTUのハンポワ成形ワームをご覧になった方が「おいしそう」「グミみたい」なんて事をよく口にされているのはよくある光景なんです。
柔らかく作ることができるということは、当然
水中でのアクションも柔らかくなります。これがめちゃくちゃ重要。大きく動くということは、ワームの可動域が大きくなりその分水を強く押すことになります。
20数年前、伊豫部さんが初めて作ったプリティーシャッドのシリコン成形型。ここから10FTUが始まりました。歴史を感じますよねぇ…。
もう一つ、最大の長所とも言えるのが、
ハンポワならではの浮力の高さ。
流し込みの後は圧力をかけない製法のため、
ワームの内部に細かい空気の粒(気泡)が残ります。ワーム内に閉じ込められた微粒の気泡により、高い浮力を保てるのです。実は、この浮力が最も重要な役割を果たすことになります。
ソフトマテリアルかつ高浮力。
これらの特徴が、現代のハイプレッシャー化したフィールドにおいて実にシステマチックに機能するのです。
はっきり言って「今こそハンポワを使え!!」と言いたいですね。
では、ハンポワワームが実際の釣りでどのように機能するのか、具体的な例を挙げながら解説していきます。
まず一つ目はパドロッター。
パドロッターのサイズは3.7インチ。大きく分厚いパドルを有しています。このパドルはワームを水平に掲げた状態だと上下85度くらいの角度まで大きく可動します。これは、ハンポワの柔らかさが無ければ出せないアクションです。
上下85度という角度は、ほぼ真上から真下まで大きなパドルが水を強く掴みながら降られていることになりますよね。その際に発生する水押しはとても大きなものとなります。
当然、
同サイズのインジェクションで作られたワームよりも大きな水押しになります。これは、インジェクションではそこまでの柔らかさを表現できず、同等の可動域を確保できないためです。
また、この可動効果はダウンサイジングされた3インチのチビロッターでも再現が可能です。
一般的な4インチ前後のクローワームやチャンクなどを使用して攻略する、ベジテーションの豊富なフィールドに関して言うと、通常なら、単純に3インチまでサイズを落としてしまうと、食わせに振ることはできますがアピール不足になりかねません。
しかし、これをパドロッターからチビロッターへローテーションすることで、4インチクラスの水押しを確保しながらダウンサイジングが可能となります。よりタフな状況でもバスに嫌われにくい、食わせの演出ができるのです。
お店に展示されているパドロッター4兄弟。こうやってみると、そのサイズ感がよくわかると思います。うまく使い分けをしていきたいところですね。それにしても、肉厚パドルのボリューム感、ハンパないですね(笑)。
ボトムでのアプローチでいくと、もう一つの特徴である浮力が効果を発揮します。
例えば、テキサスリグやジグトレーラーで使用した際、一般的なインジェクションワームはボトムにベタっと倒れた形になります。
上下に水を押したい場合は、まずワームを上に持ち上げてそこから落とす作業が必要です。その際、ロッドを上にさばくことになりますが、ラインも同時に上方向に動きバスの目の前を通ってしまったり余計な水切りを起こす原因につながります。
せっかく見に来てくれた魚がここで食わなくなる…なんてことになると非常にもったいないですよね。
パドロッターは、
ボトムに置いた状態で大きなパドルが自然に浮いてきます。そのままロッドを下さばきでトゥイッチ(ジャーク)すると…???
ラインをボトムにつけたまま、パドルは下方向にボヨンと水を押し、砂埃を立てながら前方へスライド。そしてまた、ゆっくりとパドルを持ち上げるのです。
これはまさにハンポワの浮力が生きたアプローチ。
ラインを隠す、水を強く押す、食わせの間を与える、といった三拍子が下さばきアクションだけで誰にでも行えてしまうのです。
チビロッターをトレーラーにした際の水中でのアクション画像。放っておくだけでフワフワとパドルが浮いてきます。高浮力ハンポワマジックです!
伊豫部さんがFISH it EASY!7の中部編で使っていたシューティングボールジグとパドロッター。高浮力のアピール力をうまく活かせられるベストマッチングな組み合わせです。
ハンポワのメリットはそれだけではありません。
柔らかいマテリアルは、より小さなロッドアクションにも機敏に反応してくれるという面もあります。
これが顕著に現れるのが、
自分が最も得意とするプリティーシャッドの釣りです。
プリティーシャッドは、サブパーツを持たないハンポワのストレート系ワーム。
横に扁平にした愛嬌のあるワームで、1.8インチ、2.2インチ、3.6インチの3サイズがラインナップされています。
上から、3.6インチ、2.2インチ、1.8インチ。1.8と2.2はドロップショットで使用される方が多く、3.6はジグヘッドのミドストやヘビダン等で使用されるイメージですね。
自分の場合、プリティーシャッドは2.2インチをスモラバトレーラーとリーダーレスダウンショットで使用することがほとんどです。
そしてこれらをカバーに対してバーチカルに使用します。今時の人たちの言う
「吊るし」に近いアプローチで、横方向に泳がせたりするのではなく、完全に点でシェイクして見せて食わせるアプローチです。
自分としては、プリシャはピンスポットベイト扱いです。リーダーレスダウンショット(マイクロリーダーレスダウンショットと呼んでいます)は、
●NSSフック#2(ハヤブサ)●パワーステンスイベル10(ササメ)●バザーズワームシンカースリムゼロ 2.7~3.5グラム(DAIWA)
を、そしてスモラバは、
●デビルジグNS(バレーヒル)
をそれぞれ使用しています。
スモラバに関しては、ウェイトは3.5グラムを基本として、カバーの濃さに応じて4.5、6.0、8.0グラムあたりまで重くしていきます。
また、チューンとして、ボディはそのままに、ティムコのシリコンスカート・ファインカットに巻き替えています。スカートの本数は14本を半分に折り返して、合計28本巻きとかなり少なめです。
これはフォールスピードを速める狙いがあるのです。
ひとつキモとして、ジグのアクションを起こすときに重要になってくるのが、シェイクの細かさとワームの姿勢。
シェイクはできるだけ細かく、姿勢は水平がベストです。これは、プレッシャーのかかったフィールドで食わせるのが非常に難しい魚に口を使わせるための最善のアプローチとして辿り着いた結論です。
プリティーシャッドは、その柔かさの恩恵で超細かいマイクロピッチシェイクにも機敏に反応してくれます。
どのくらい細かいシェイクをしているかというのは、10FTUのYouTubeチャンネルで霞水系へ行った際、実際にやっているので確認してみてください。
10FTUチャンネル『イヨケン冬の霞ヶ浦水系を攻める!【つり具のブンブン埼玉狭山店】なべちゃんとワクワク釣行♪』にて、貴重な1尾を出していますので良かったら是非。カメラで拾えないほどのシェイクやってます(笑)。
そして、水中では以下のような姿勢になっています。
水平姿勢をしっかりと保っています。これが尻下がりになると全く食わなくなるのが面白いんですよね。でも、そこに気がついた人が増えて、メーカー各社さんが90度アイの吊るし専用スモラバを発売しはじめているのが、実際にその差を体感している人が増えていることの現れでしょう。
そして最後はマイクロッターについて。
マイクロッターのベーシックな使い方の詳細は先月お話いたしましたので、ちょっとしたハンポワエピソードとして読んでいただければと思います。
これは遡ること今年の夏の話。
とあるメジャーフィールドに足を運んだのですが、昼間に到着したこともあり、あいにく人だらけ。
たまたま空いていた…もう散々叩かれまくったであろう水門にエントリーしました。
水辺を遠目に覗いてみると、
小さなカエルが暑さをしのぐために水に飛び込む姿があちらこちらで確認できました。
「これはバスにめちゃくちゃ食われてそうな状況だけど、今日は沖の釣りをやり込む予定だったからそんなの持ってきてないしな…」
と思いを巡らせながら車に戻り、トランクをガサ入れしていると、パドルの取れてしまった使い古しのマイクロッターを発見。
「むむむ!」
ひらめきました!
パドルの取れたマイクロッターにマスバリを通し刺しした状態で、そのタックルだけ持って水門へ。
足元で泳がせてみるとこれは…そう、あの小さなカエルそのものだったのです…。
とりあえず適当に水門に投げてみました。
カエルが逃げてま~す、といったアクションを入れ、ぴょんぴょこやっていると…いきなりボフッ!!!!!!
一投目で釣れたのは45センチ、1850グラムの腹パンクオリティ…!!
発想の転換からきた会心のイッパツ。いいバスでしょう。ひょっとして本当に!? と思い、バスの喉の奥を覗いてみると…やっぱりいました、小さなヤツらです。
これが使い古しのマイクロッター・マスバリ仕様。名付けて“ケロケロチューン”(笑)。マスバリは#2クラスのものがいいですね。カバーがあるときはノガレス・ワイルドモスキート#2のワイヤーガードの先をカットし、ちょっと広げて二股にした状態で使用しています。
これはあくまでも偶然の産物でしかないのですが、
マイクロッターの浮力があったからこそできた、トップウォーターワーミングテクニックでした。
つまり、自分の言いたいことは、
ハンドポワードの使い方は無限大だということ。
皆さんの発想力で自由に面白い釣りをやってみてくださいってことです!
見た目がリアルなワームも魅力的だけれども、ルアーとしての本質を突き詰めていくと、まだまだハンドポワードも捨てたもんじゃない、いや、むしろ今こそハンポワでしょ!!!
…ということで、今回も長々と語らせていただきました。
最後まで脱落せず読んでくださったマニアックな皆さん、ありがとうございました!!
また次回も面白いネタを用意しておくのでお楽しみに!
そして興味を持ってくださった皆さん、
是非「ハンポワ」の魅力をあらためて感じながら10FTUのワームを使ってみてください!
意識を変えるだけで、今までよりも格段に釣果がUPしますよ!
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